【溜池ゴロー、子育てこそ男の生き甲斐】イジメに関してワシが息子に教えたこと

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よく「最近のイジメ」は「昔と違って陰湿だ」というような言われ方をするが、ワシはそう思わん。最近に限ったことではなく、昔からイジメというのは、陰湿なものである。陰湿でないイジメなどはない。当たり前である。ただ、時代がたてば、なんだって高度になっていく。イジメだって「高度で頭のいいイジメ方」が現れただけではないだろうか。

最近のイジメのことを「ゲーム感覚で行われる」とか「普通の子や優等生でもやる」という方も多いが、それらはイジメ方が高度になってきていることによって現れた現象だろう。

「多勢をイジメに参加させる」ために「みんなで楽しく弱い者イジメができる」ように「ゲーム感覚的なイジメの方法」をあみ出したイジメっ子もいれば、「周囲のバカな大人たちに気づかれない」ために「自分が優等生または普通の生徒」になって「イジメをバレないで楽しむ」ような頭の働くイジメっ子もでてきたのだろう。


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■自分の子供がイジメに遭ったら「逃げる」

このようにイジメ方が高度になってきているので、周囲の大人達はなかなかイジメに気づかない。親から見れば、わからないうちに自分の子供がイジメの渦に巻き込まれ、子供が死にたいくらい悩んでいたとしても、まさかそんな状況だとは思いもしない。

前回述べたが、もし、自分の子供がそのような状況だと知ったとしたら、ワシならすぐに転校させ、家族ごと別場所に引っ越し、徹底して「逃げ」の手段をとる。しかし、親がその土地から離れられない理由(例えば、マイホームのローンが残っている、地元で商売をしているなど…)があると、逃げることを躊躇している間に、最悪の事態も起こりうる。

ワシには、ローンで買った家もなければ、現在暮らしている場所とのしがらみもない。なので、こんなことが簡単に言えるのだろうと感じる方もいらっしゃるだろう。

しかし、ワシにとって、いや、世の中のほとんどの親にとって、「ローン支払い中の家」や「場所とのしがらみ」よりも自分の子供のほうが何万倍も大切だ。親は子供のためなら、そんなものは捨てることができて当然だとワシは思っている。

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■子供の様子を観察し、イジメの芽を断つ

しかし、「徹底して逃げる」ことが大変なこともわかっている。なので、そうならないように、親は「イジメは日常のどこにでもある」と肝に銘じた上で子供の様子を観察してやるべきだと思っている。

そして、少しでも子供の様子に違和感を感じたら、イジメの芽を疑い、できるだけ速いうちにイジメの芽を断つことを考えるべきだ。

以前、ワシなりの方法で「イジメ」に関して息子に教えたことがある。今回はそのときのことを書く。いつものことだが、皆さんの参考になるかどうかわからんが、「イジメることも、イジメられることもイケナイ」ということを教える1つの方法として読んでいただけると幸いだ。


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 ■息子の目の前でイジメが起きた

それは、ワシの息子が4歳の頃の話である。息子は当時すでに水泳を始めており、スイミングスクールまでワシら夫婦のどちらかが毎回送り迎えをしていたのだが、その日は、ワシの番だった。スイミングスクールで練習を終え、夕方2人で帰りの地下鉄に乗っているときのこと……

電車の中は、そこそこ混んでおり、ワシと息子は手をつなぎ立っていた。そのとき、ふとある光景が目についた。ワシら親子の視線5メートルくらい先、座席の端あたりに3人の男子中学生がいた。1人は座席に座り、あとの2人は彼の前に立ちペチャクチャと喋っている。

夕方に地下鉄で下校ということなので、多分その沿線界隈にある私立の中高一貫校の生徒達だろう。一見楽しげに軽くはしゃいでいる彼らを見ていると、あることに気づいた。

楽しそうにはしゃいでいるのは、立っている2人だけである。座っているメガネをかけた男子の顔は、ニヤニヤと笑っているようだが、決して楽しくて笑っている表情ではなかった。

2人は、座っている男子のメガネを取り上げつり革にぶら下げたり、彼の頭を2人でかき乱し髪の毛をくしゃくしゃにして笑ったり……一見ふざけ合っているように見えるが、意地悪をされた男子が少しでも嫌な顔を見せると余計に2人が手を出す。殴ったりはしないが、耳をつねったり、鞄を床に落としたり……確実に「イジメ」である。

周囲の忙しい大人達から見たら、仲の良い中学生たちがはしゃいでいるだけに見えるのだろう。当然気にかけている大人は誰もいない。多分ワシだけだ。と思っていたら、ワシの息子がその中学生たちをじーっと見ていた。そしてワシに聞いてきた……「父さん、あれは遊んでいるの?それともイジメているの?」と。

ワシは、息子にとってこれ以上ないくらいの良い社会勉強のチャンスだと思い、正直に答えた……「あれは、ふざけ合っているように見えるが、イジメてると思うぞ」と。そこからのワシら親子の会話を以下に書くと……

息子「父さん、助けてあげて」


ワシ「もちろん今、助けることは簡単だ。でも、父さんが助けた後、あの子達はどうすると思う?」


息子「そうか!父さんがいなくなったあと、もっとイジメられるかもね」


ワシ「そうだよ。だったら、あのイジメられてる子はどうすればいい?」


息子「イジメるのをやめさせる?」


ワシ「そう!自分で抵抗するしかないんだよ。たとえコワくても、傷ついても、抵抗しなきゃまたイジメられるかもしれないね」


息子「そっか。抵抗すればいいのに」


ワシ「お前は、イジメにあいそうになったら必ず抵抗するんだぞ。それに、あんなイジメる卑怯な人間にも、イジメられる人間にもなってはいけない」


息子「オレは抵抗するし、イジメる方にもイジメられる方にもならないよ!」

……などとワシら親子が話していたところ、イジメていた男子達がこちらを見ていた。どうやら話が聞こえたらしいのだが、降車駅だったのだろう、ワシら親子と目があったと思ったら、イジメていた2人は先に電車から降りていった。

イジメられていた男子は1人になり、ホッとしている様子になった。すると、少し離れたところから同じ制服姿で背の低いメガネをかけた別の男子が、さっきまでイジメられていた男子のところにやって来て、2人は笑顔で話しだした。

やって来た背の低いメガネ君は、イジメられていた男子と仲良しのようだ。どうやら彼は、自分もイジメられるのがコワくて、友人を助けることをせずに、少し離れたところで知らん顔をしていたらしい……ここにも良い社会勉強の教材があったではないか(笑)ワシは、息子にこう言った……

ワシ「今、イジメられていた子と仲良く話しているメガネの子いるだろ。あれはきっと、イジメられてた子のお友達なのに、助けようとしなかったんだ。お前は、もし友達がイジメられそうになったら、助けてやらなきゃダメだぞ」


息子「うん!オレは友達助けるよ!」

……このときのことが記憶にあるのか、ワシの息子は、保育園時代、友達を乱暴な子から助けようとして自分が喧嘩になってしまい先生に怒られたり、小学生になってからは、間違ったことをする生徒には上級生であってもまともにぶつかっていきケガしたり……そんな幼少時代を過ごしてきましたとさ。

次回は、そんな育て方をしたワシの息子がやらかしてきた「子供同士の喧嘩」に関して書こうと思っている。以上。

(文/溜池ゴロー

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Sirabee編集部

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