我慢できなくて…。「強姦罪」の定義って？　【伊武センセの法律相談室】

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2014/11/22 08:00

相談

デリヘルで素股をしてもらっているとき、我慢できなくなって、アソコに先っぽをちょっとだけ入れてしまいました。勢いというか、軽いノリのつもりでしたが、女の子が本気で怒ってしまい店の店員を呼ばれてしまいました。
必死に謝ったのですが、「強姦罪だ。慰謝料100万円払え。払わないなら警察に被害届を出す」と脅されて、免許証と社員証のコピーをとられました。次の日曜日に店の人と会うことになりましたが、やっぱり払うしかないんでしょうか・・・。

びったれ

司法書士・伊武センセの解説

それはバカなことをしましたね。女の子が怒るのも当然です。自業自得、あなたは社会人として責任をちゃんととるべきです……。と言いたいところですが、追い込んでばかりいても可哀そうですね。さっそく解説に入りましょうか。

ご相談では店の店員が強姦罪だと主張しているようですが、今回の場合、強姦罪にはあたりません。強姦罪は「暴行又は脅迫を用いて…女子を姦淫した者は、強姦の罪とする」と規定されています。女の子の同意がないといっても、あなたは暴行も脅迫もしていないのですから、強姦罪にはならないのです。この点は店側の誤りです。

しかし、だからといって安心するにはまだ早いですよ。実は準強姦罪という罪もあるのです。

準強姦罪とは「女子の心神喪失もしくは抗拒不能に乗じ、または心神を喪失させもしくは抗拒不能にさせて姦淫した者」に強姦罪と同じ罰を科すというものです。典型的な例は、女の子に強いお酒を飲ませて、前後不覚になったその隙に・・・なんてパターンですね。

いまブルったあなた！危ないですよ。これからは気をつけて下さい。

さて、ここで問題になるのは、今回のご相談の様に女の子が油断した隙に性器を挿入する行為が「抗拒不能に乗じた（不能にした）」ことになるのかどうかです。確かに、素股をしてもらうときの2人の体勢や、本番行為はしないと女の子が信じているということからは、女の子が咄嗟に抗い拒否することは不能だったとも考えられます。不能であれば準強姦罪になってしまいます。しかし、刑罰は社会秩序を守る最後の手段ですから、安易に発動することは許されないというルールも存在します。罪になるか否かは条文の言葉を厳格に捉えて検討するしなければならないのです。となると、標準的な（？）素股プレイからの挿入行為だけでは「抗拒不能に乗じた（不能にした）」とまではいえないでしょう。したがって、ご相談の内容でも準強姦罪が成立するのは難しいと考えます。

そして、何よりも現実というものは理屈どおりに厳格に進んでいくわけではありません。実は、警察も被害届を出したのが風俗関係者となれば、挿入行為が客の故意による事件なのか、それとも偶然の事故なのか判然としないため、あまり取り合ってくれないのが実情なのです。また、店側としても、警察を相手にガタガタとかかわると取り締りを受ける危険があるため、警察沙汰にはしたくないというのが本音のようです。したがって、ご相談の様な事例で、事件にはなることはなかなかないものです。

びったれ

じゃあ、お金を払わず、ほっといてもいいのかといわれると、これはまた別の話。このあたりが法律の難しいところなんです。

結論から言うと、刑事事件として罪にならないとしても、民事事件としての責任は負うことになるんです。あなたは同意なく挿入行為をして女の子に精神的な苦痛を与えたわけですから、これは民法の不法行為にあたり、慰謝料を支払う義務が生ずるのです。

やっぱりダメか・・・とあきらめかけたご相談者様。まだまだあきらめるのは早いですよ！

このような場合に店側が客に要求する損害賠償金（慰謝料）は100万、200万のぼったくり金額であることがほとんど。ご相談者様も100万円を請求されていますよね。

でも、さすがに、こんな大金を払う必要はありません。適正な慰謝料額がいくらであるかはケースバイケースですが、ご相談内容と同じような事例では10万円程度と認定される場合が多いと思われます。

当然、店側は、ことさら強姦だと声高に叫び相談者様の罪悪感を煽り、免許証や社員証のコピーをとって不安に陥れ、心神が疲弊しきって正常な判断力を失った相談者様から高額の賠償金（慰謝料）をぼったくろうとするでしょう。

しかし、ここがふんばりどき。10万と100万では雲泥の差なんです。いったいどれだけ残業をしなければいけないか。日々の唯一の楽しみである晩酌のビールを全カットしても追いつきゃしませんよ。確かに悪いのは相談者様。でもでも、自己の責任以上の賠償金（慰謝料）を支払う必要はないんですよ。そうして支払わずにすんだ金があれば、また風俗にもいけるじゃないですか。

ここは恐いのをぐっと我慢して、適正な金額以上は払わないと主張しましょう！　

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